
スベリヒユの対策に苦慮されている生産者も数多くおられますので、今回はスベリヒユ対策について紹介していきます。
このスベリヒユは、種子で繁栄する1年草です。
空地や畔、庭先、畑、道端などで見られます。
よく日の当たる乾いた場所を好んで、湿っぽい畔などには少ないです。
また、良く肥えた土壌では生育しますが、極端な高窒素の環境の下では成長が抑制されてしまいます。
スベリヒユの生態
分類:スベリヒユ科
分布:全国
出芽:4〜7月
花期:7〜9月
草丈:〜脛
生活歴:一年生(夏生)
繁殖器官:種子(74mg)
学術名:Portulaca oleracea
全体的に多肉質で、肉質の丸みをおびた葉には光沢が見られます。
茎は赤紫色を帯びており、四方八方に枝が分かれて地面を這って成長します。
7月頃~秋にかけて、各枝先に径1cm位の黄色い5弁花を1~5個着けます。
スベリヒユは乾燥した土壌や炎天下でも良く育ち、抜いてもすぐには枯れにくく、しかも、再活着しやすい為、一般的には畑の強害雑草として知られています。
密生する事は少なく、他の雑草が枯れ込むほどの酷暑の下でも、たくましく生育出来ます。
スベリヒユの類似種として、ハナスベリヒユ(ポーチュラッカ)は、2〜3cm程の様々な色の花を咲かせる多年草の園芸種です。
また、葉が扁平な棒状になるマツバボタンやヒメマツバボタンとスベリヒユと同じ園芸種です。
スベリヒユは、気温が低下する夜間になると気孔を開いて二酸化炭素を取り込んで、反対に昼間は気孔を開かずに光合成する植物(CAM植物)なので、より気温の高い乾燥した場所でも適応します。
その為、他の植物が生育が出来ない=競争相手が居ない環境の下で生育する事が出来ます。
晴天時の午前中のみ開花しますが、開花しないで種子を作る閉鎖花も多いです。
全体は無毛で、茎は赤みを帯びていて、地面を這って成長します。
スベリヒユの駆除方法とは
生育が初期は頃は草かき、草むしりで防除できますが、出来るだけ早く取り除く事が良いです。
生育がある程度進んだ頃は、草かきなどで除草して、甫場以外の畦畔か道端に運び出して、枯死させる事が重要です。
畑に置いてそのままにしておくと、土壌と活着して復活してきます。
中耕を行った場合は、茎葉の一部分が地上に露出していると再び再生してしまうので、土壌の中に完全に埋め込む事が重要です。
スベリヒユは食べられる?
昔から食用とされており、茹でて食べると野菜のヒユ(アマランサスの仲間)によく似ていますが、ヒユよりも粘り気が強い事から、ゆめりひゆと呼ばれ、これが転じてスベリヒユになったとされています。
沖縄ではニンブトゥカーと呼ばれ、山形県置賜地方では、ひょう・ひょうなとして、店先などで販売される山菜として扱われています。
開花する前に摘んで味噌和えやおひたしなどにすると粘り気があって美味しいです。
また、乾燥させて保存食としても活用出来ます。
スベリヒユは、西暦500年頃から漢方薬としては有名であり、抗アレルギー作用、抗菌作用、抗炎作用があると言われております。
生薬の馬歯莧(ばしけん)としても知られており、B1、タンニン、ビタミンCや多くのミネラルを含んでいるので、乾燥したものを煎じて服用すると、解毒、利尿などに効果があります。
また、生の葉を絞った汁は、湿疹、いぼ取り、虫刺されに効果があるとされています。
除草剤を使う
スベリヒユは出芽の深度が非常に浅い為、発生前、発生初期に土壌処理剤で防除を行うのが効果的です。
ゴーゴーサン乳剤・ゴーゴーサン細粒剤Fは、ペディメタリンを成分として、選択性の土壌処理剤の代表的な除草剤で、イネ科雑草と広葉雑草の両方の一年草に効果を発揮します。
白菜、キャベツ、レタス、にんじんと非常に沢山の作物で使用する事が出来る除草剤です。
乳剤は、撒いた後に大雨が降ってしまうと被膜が破れてしまう為、天気が心配な時には細粒の方を使用する事をおすすめします。
来年にスベリヒユを繁殖させない方法
このスベリヒユは、午前中に咲いて午後にはしおれます。
カップ状の果実の中に50〜70個の種子が入っていて、カップ上部が帽子のように取れて種子が散布されるしくみです。
1株で生産される種子は、大きいもので約2万粒位になり、種子は円形で直径約0.5mm位です。
種子には休眠する性質がありますが、同一株から生産された種子でも成熟の早いものは休眠が浅くて、成熟が遅いものは休眠が深いです。
平均気温が13℃前後から発生が見られて、20℃以上で発生盛期となります。
草丈は低いですが、吸肥力が強くて、畑で発生が多い場合は雑草害を生じます。
乾燥に強い為、抜き取りものを、放置してしまうと再び活着します。


コメント