
コナジラミの対策に苦慮されている生産者も数多くおられますので、今回はコナジラミ対策について紹介していきます。
コナジラミの生態
野菜を加害するコナジラミの主要種は、タバココナジラミ(Bemisia tabaci(Gennadius))とオンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorum(Westwood))の2種が生息します。
成虫は両種共に体長1.0mm程度で、体色は白色をしていて、両種は酷似していますが、タバココナジラミはわずかに翅を開いて静止する個体が多くて、オンシツコナジラミは翅を背中で合わせてたたんで静止する個体が多いです。
卵は両種共に産卵直後は淡黄色で、タバココナジラミは孵化の直前に淡褐色になり、オンシツコナジラミは黒褐色になります。
幼虫は両種共に1齢幼虫は歩行が可能であり、2齢幼虫以降は定着します。
4齢幼虫はタバココナジラミでは平滑で、中央部が少し山形に膨らんでいて、突起物は少なくて全体的に黄色です。
オンシツコナジラミは小判型で全体的に厚みがあって、体表から分泌物が針状に伸びる為、刺毛のように見えて、全体的に白っぽいです。
タバココナジラミは、野外では、成虫は4~11月まで見られて、夏に発生が多いです。
低温には弱い為、降霜地帯では野外越冬出来ないが、施設栽培では周年で発生します。
オンシツコナジラミは、寒さに比較的強い為、野外で越冬出来ます。
冬から初夏の施設栽培で発生が多くて、成虫は生長点や若い新芽を好んで、葉裏に産卵します。
25℃で卵から成虫になるまでの期間は、両種共にほぼ同じで約23日です。
コナジラミが発生する原因
コナジラミは温暖な気候を好んで、特にビニールハウス内や温室では年間を通じて発生しやすいです。
湿度が高い環境ではコナジラミの発生を助長して、特に雨季や湿気の多い季節には増殖しやすくなります。
作物を密植して植えると、風通しが悪くなって、コナジラミの発生を助長します。
過剰な肥料や、窒素肥料の使用は、植物の新芽や若葉を豊富にして、コナジラミの食料源を増やす事になるので注意が必要です。
キャベツ、トマト、ナス、キュウリ、ブロッコリー、レタスなど、コナジラミが特に好む植物が多く栽培されている畑だと、発生のリスクが高まります。
枯れ葉や落ち葉、雑草が多いと、コナジラミの繁殖場所や隠れ場所が増えて、また、同じ作物を同じ場所に連作すると、コナジラミの発生リスクが高まってきます。
コナジラミによる食害の主な症状
葉の一部又は全体が黄色く変色してきて、これはコナジラミが植物の汁を吸う事によって、栄養が不足する為です。
葉がしおれたり、縮んだりする事があり、特に新芽や若葉に影響が出やすいです。
コナジラミが吸汁する際に出来る小さな白い斑点が葉に現れて、これが大量に発生すると、葉全体が白っぽく見える事があります。
コナジラミが排泄する甘露(ハニーデュー)が葉に付着して、それにカビが繁殖する事で黒いススのような汚れが葉に広がって、これにより光合成が妨げられ、植物の健康が悪化します。
コナジラミの吸汁によって栄養が奪われる為、茎や枝が弱くなって、折れやすくなります。
若い茎や枝の成長が遅れる事があり、これは吸汁によって植物が必要な栄養を十分に供給できなくなる為です。
コナジラミの被害を受けた果実が形を変えたり、小さくなったりする事があります。
コナジラミの吸汁によって花が正常に成長せずに、早期に落下する事があり、これにより収穫量が減少します。
果実の表面が汚れたり、病気に感染しやすくなったりする事で、品質が低下します。
コナジラミによる食害の対処・予防方法
作物を防虫ネットで覆い、コナジラミの侵入を防ぐ事が必要です。
黄色の粘着シートを設置して、成虫を捕獲します。
強い水流で植物を洗い流して、コナジラミを物理的に除去します。
ナス科やウリ科などの感受性の高い作物を連作せず、輪作を行う事で害虫の発生を抑えます。
作物を適切な間隔で植える事で、風通しを良くして、湿気を減少させます。
畑周辺の雑草を定期的に取り除いて、コナジラミの隠れ場所を減らす事が必要です。
適切な肥料と水の管理を行い、植物の健康を保つ事で、コナジラミの被害を軽減します。
作物の下に反射シートを敷く事で、コナジラミの飛来を防ぐ事が出来ます。


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