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キュウリの葉の表面に、白い粉をふりかけたような斑点が出てきたら、うどんこ病のサインかもしれません。キュウリのうどんこ病とは、糸状菌(カビの一種)が葉や茎の表面に広がって、白い粉のようなものに覆われる病気です。放っておくと、葉が早く枯れてしまい、実の収量や品質にも影響が出ることがあります。
結論から言うと、うどんこ病の大きな特徴は、雨で葉が濡れていなくても、むしろ乾いた天気でも広がることです。そのため、多くの病気で有効な「葉を濡らさない」だけでは十分ではなく、「風通しをよくする」「抵抗性品種を選ぶ」「早めに気づく」といった対策が中心になります。この記事では、アメリカのノースカロライナ州立大学、カリフォルニア大学のUC IPM、ユタ州立大学、クレムソン大学が公開している情報をもとに、キュウリのうどんこ病の原因から、見分け方、家庭菜園でできる対策までを整理します。
キュウリのうどんこ病とは?原因はどんな菌?
キュウリのうどんこ病とは、ウリ科の作物に感染する糸状菌によって起こる病気で、葉・茎・葉柄に白い粉状のカビが生える症状が特徴です。 「うどん粉」(小麦粉)をまぶしたように見えることが、名前の由来です。うどんこ病全般の基本的な解説は、うどんこ病の正体と撃退法でも紹介しています。
原因となる菌の種類
ノースカロライナ州立大学の解説では、ウリ科のうどんこ病の原因は、Podosphaera xanthii(ポドスファエラ・ザンティイ)と Erysiphe cichoracearum(エリシフェ・シコラケアラム)という2種類の糸状菌とされています。ユタ州立大学の解説でも、原因は Podosphaera xanthii と、Golovinomyces chicoracearum の2種類であり、ユタ州では前者が優勢だと述べられています。
菌の名前が資料によって少し異なるのは、分類の見直しで学名が変わることがあるためです。UC IPMの解説では、Sphaerotheca fuliginea という名前が挙げられていますが、これは P. xanthii の以前の学名として知られているものです。家庭菜園では、菌の名前を細かく覚える必要はなく、「ウリ科のうどんこ病を起こす糸状菌がいる」と理解しておけば十分です。UC IPMは、それぞれの菌に複数の「レース」(同じ菌の中の、性質の異なるグループ)があることも述べています。
生きた植物にしか寄生しない菌
うどんこ病菌は、生きた植物の細胞から栄養を得る「絶対寄生菌」です。葉の表面に菌糸を広げ、植物の細胞から栄養を吸い取りながら増えます。
ウリ科のうどんこ病は、ほかの科の作物にもうつる?
旧来の解説では、キュウリのうどんこ病が、トマトやナス、ピーマン、イチゴなど、さまざまな作物に広がるように書かれていることがあります。しかし、今回参照した資料では、ウリ科のうどんこ病は、キュウリ、メロン、カボチャ、スイカなどのウリ科の作物に発生する病気として扱われています。うどんこ病菌は、一般に宿主となる植物がある程度決まっており、作物ごとに病原菌の種類が異なります。
トマトやナスなどナス科の作物のうどんこ病については、別の菌が関わっています。たとえば、ナスのうどんこ病は、Leveillula taurica という、葉の内部に菌糸を伸ばすタイプの菌が主な原因とされています。詳しくは、トマトのうどんこ病とは?原因菌・症状の見分け方と家庭菜園でできる防除法や、ナスのうどんこ病とは?発生しやすい条件と家庭菜園でできる防除法を参照してください。メロンについては、メロンのうどんこ病が発生する原因と対策で紹介しています。
どんな症状が出る?見分け方のポイント

キュウリのうどんこ病の症状は、葉の表面などに白い粉のような菌が広がり、進むと葉が黄色くなって茶色く紙のようにカサカサになることです。
初期:小さな白い斑点、または淡い黄色の斑点
UC IPMの解説によると、初期には、茎、葉柄、葉に、淡い黄色の斑点が現れ、そこに白いふわふわした菌が生えて、粉をふいたような見た目になります。クレムソン大学の解説でも、葉の上面や茎に白い粉状の生育が見られるとされています。
好発部位:古い葉、日陰の葉
ノースカロライナ州立大学の解説では、感染は、通常、古い葉や日陰にある葉から始まるとされています。株の下のほうの葉や、葉が込み合って光が当たりにくい部分に、白い斑点を見つけたら、うどんこ病を疑います。
進行期:葉がくすんで、褐色になり、紙のようになる
UC IPMの解説では、症状が進むと、葉がくすんだ色になり、黄化(クロロシス)して、午後の暑い時間に少ししおれることがあると述べられています。最終的には、葉は茶色くなって、紙のようにカサカサになります。クレムソン大学の解説では、感染した組織が育たなくなったり、ゆがんだりして、葉が早く落ちることがあるとされています。
- 葉の表面に白い粉状の菌が広がる
- 葉全体が白く覆われることがある
- 葉がくすみ、黄色くなる
- 茶色く、紙のようにカサカサになる
- 葉が早く落ちる
実への影響
クレムソン大学の解説では、うどんこ病は、実そのものには直接感染しないとされています。ただし、葉が傷むことで株が弱り、実の育ちに影響が出ることがあります。ノースカロライナ州立大学の解説では、植物にストレスがかかると、実に斑点が出ることがあり、葉が早く枯れることで、収量や品質が下がると述べられています。
症状の見分け方:べと病との違い
キュウリの葉に出る病気で、うどんこ病と混同されやすいのが、べと病です。見分けのポイントは、次のとおりです。
- うどんこ病:葉の「表面」に、白い粉状の菌が広がる(葉を濡らさなくても発生する)
- べと病:葉脈に区切られた角ばった黄色い斑点が出て、葉の「裏」に暗い綿毛状の胞子ができる(葉が長く濡れることで発生する)
べと病の詳しい見分け方や対策は、キュウリのべと病とは?原因・症状・発生しやすい条件と家庭菜園でできる対策で解説しています。
なぜ発生する?発生しやすい条件とは

うどんこ病は、適度な気温、中〜高めの湿度、光が少なく葉が込み合った環境で発生しやすく、しかも雨で葉が濡れていなくても感染するのが特徴です。 各機関の解説の共通点を整理します。
条件① 適度な気温(約20〜27℃)
ノースカロライナ州立大学の解説では、好都合な気温は、68〜80°F(約20〜27℃)とされています。UC IPMの解説でも、うどんこ病は、湿度が高く、穏やかな気温で、株が勢いよく育っている条件で広がると述べられています。クレムソン大学は、50〜90°F(約10〜32℃)という広い範囲で発生しうると述べています。
つまり、真夏の高温期だけでなく、春先や秋口の過ごしやすい気温の時期にも、注意が必要です。ユタ州立大学は、気温が上がり始める時期に、葉に白い粉状の斑点が現れると述べています。
条件② 湿度は「中〜高め」で、雨は必要ない
ノースカロライナ州立大学とUC IPMの解説では、うどんこ病が発生しやすい湿度は、相対湿度50〜90%とされています。ノースカロライナ州立大学は、相対湿度が50%程度の乾燥した条件でも感染が起こりうると述べています。
ユタ州立大学の解説は、次のように説明しています。
- 多くの糸状菌病と違い、うどんこ病は、雨で葉が濡れる条件を好まない
- ただし、最初の感染には、葉が2時間以上、高い湿度や露にさらされることが必要
- 一度定着すると、乾燥した条件で勢いよく広がる
この点が、葉が長時間濡れることが必要なべと病(6〜12時間ほどの葉の濡れが必要とされる)とは、大きく異なります。
条件③ 光が少ない・葉が込み合っている
ノースカロライナ州立大学の解説では、光の少ない環境と、密な葉の茂りが、好条件として挙げられています。前述のとおり、感染が古い葉や日陰の葉から始まりやすいのは、このためです。
- 株間が狭い
- 葉や蔓が込み合って風が通らない
- 下のほうの葉に光が当たらない
- ハウスの中で換気が不十分
条件④ 株の勢いがよすぎる
UC IPMの解説では、「勢いのよい生育」も、うどんこ病の発生を助ける条件として挙げられています。窒素肥料を与えすぎると、葉が柔らかく茂りすぎて、風通しが悪くなり、感染しやすい状態になる可能性があります。
「雨が少ないと安心」ではない
湿度が高く、しかも雨が少ない曇りがちな天気が続く時期は、注意が必要です。うどんこ病は、雨の日が少なく曇りがちな時期に発生しやすい病気です。ユタ州立大学の解説でも、「雨が降っていない、乾いた天気でも、うどんこ病は広がる」と説明されています。
どうやって広がる?感染経路と越冬
うどんこ病の胞子は、風に運ばれて広がります。越冬の仕方は、資料や地域によって説明が異なります。
風で運ばれる胞子
ノースカロライナ州立大学の解説では、この病原体は、風に運ばれる分生子(胞子)によって、遠くまで広がると述べられています。UC IPMの解説でも、胞子は空気の流れで長距離を運ばれるとされています。
- 葉の表面につくられた胞子が、風で周囲に飛ぶ
- 周囲の株や、近くの畑・ハウスに広がる
- 暖かい時期は、次々と新しい胞子がつくられる
ユタ州立大学の解説では、胞子の形成、飛散、感染が夏の間、繰り返されると述べられています。
越冬する場所
- UC IPM:雑草の上で越冬し、その胞子が空気の流れで運ばれる
- ユタ州立大学:植物の残渣(枯れた株など)の中に、越冬用の胞子を含む子実体をつくって冬を越す。春に暖かくなると、新しい胞子ができて、風で飛ぶ
資料によって説明が異なるのは、地域の気候や菌の種類によって、越冬の仕方が異なるためだと考えられます。共通して言えるのは、「雑草や、枯れた株の残渣が、次の年の感染源になりうる」ことです。
日本での状況について
ここまでの情報は、北米の気候や栽培環境にもとづくものです。日本での発生時期は、露地か、ハウスか、また地域の気候によって異なります。一般的には、露地では5〜10月ごろ(特に9月ごろ)、ハウスでは3月ごろから発生が目立つといわれていますが、この時期の目安は、本記事で参照した海外の資料には含まれていません。お住まいの地域の発生時期は、地域の病害虫防除の情報も参考にしてください。
放置するとどうなる?被害の具体例

うどんこ病が進むと、葉が早く枯れて光合成ができなくなり、株が弱って、実の収量や品質が下がる可能性があります。
- ノースカロライナ州立大学:葉が早く老化し、実の収量と品質に影響が出る
- UC IPM:葉がくすみ、黄化し、最終的に褐色で紙のようになる
- クレムソン大学:感染した組織の生育が止まったりゆがんだりして、葉が早く落ちる。実は直接感染しないが、育ちに影響が出ることがある
症状が進んで葉全体が白く覆われると、光合成が妨げられ、株の生育不良や収量の減少につながります。なお、「うどんこ病で実が曲がる」と説明されることもありますが、今回参照した資料では確認できていません。
早く気づくことが大切な理由
ユタ州立大学の解説では、葉が白い菌で厚く覆われてしまうと、薬剤による防除が効きにくくなると述べられています。症状が広がってからでは手遅れになりやすいため、初期の小さな白い斑点の段階で気づくことが、被害を抑える鍵です。
品種選びで対策できるのか
キュウリのうどんこ病対策では、抵抗性(耐病性)のある品種を選ぶことが、基本的で効果的な手段とされています。 クレムソン大学は、抵抗性品種が、ウリ科の大半の作物で入手できるとし、家庭菜園での予防の基本に挙げています。ユタ州立大学も、キュウリ、カボチャ、スカッシュなどで抵抗性品種があると述べています。
抵抗性品種でも、油断はできない
- ノースカロライナ州立大学:ウリ科のすべての作物が感染しうるが、キュウリやメロンは、商業品種に抵抗性が取り入れられているため、比較的感染しにくい
- UC IPM:抵抗性品種を植えても、畑の観察を続けるよう推奨している。カリフォルニア州では、抵抗性を打ち破る「レース」の存在を示す証拠があるため
抵抗性品種は、うどんこ病にかかりにくい、あるいは症状が軽く済む性質を持っていますが、環境が病気に有利であったり、抵抗性を突破する菌が現れたりすれば、発病する可能性があります。
日本での品種選びのポイント
日本国内では、種苗会社のカタログや種袋に、「うどんこ病に強い」「うどんこ病耐病性」などの表示があるキュウリ品種が販売されています。
- 品種の説明に、うどんこ病への耐病性(抵抗性)が記載されているか
- べと病など、ほかの病気への耐病性も確認する(品種によって耐病性の組み合わせが異なる)
- 自分の栽培環境(露地・ハウス・プランター)や栽培時期に合うか
- 耐病性があっても、病気が絶対にかからないわけではないことを理解しておく
家庭菜園でできる耕種的防除

うどんこ病の耕種的な防除の基本は、風通しをよくして葉の込み合いを減らすこと、抵抗性品種を選ぶこと、感染源になる雑草や残渣を残さないこと、そして早めに気づくことです。 各機関の解説から、家庭菜園にも応用できる考え方を整理します。
① 株間を確保し、風通しをよくする
ユタ州立大学は、株の間隔を広げて、空気の流れをよくし、株の中の湿度を下げることを挙げています。ノースカロライナ州立大学も、適切な株間を、管理の基本としています。うどんこ病は、光が少なく葉が込み合った環境で発生しやすいため、風と光が葉の間に入ることが大切です。
- 定植時に、株間を十分にとる
- 蔓を立体的に支柱やネットへ誘引する
- 込み合った葉、下のほうの古い葉を、適度に整理する
- ハウスでは、換気をこまめに行う
株間を空ける、蔓を誘引して風通しを保つ、症状のある葉を早めに取り除く、窒素肥料を与えすぎない。これらはいずれも、薬剤を使う前に家庭菜園でできる基本の対策です。
② 窒素肥料を与えすぎない
UC IPMが、勢いのよい生育を発生条件に挙げているように、株が茂りすぎると、風通しが悪くなり、うどんこ病が広がりやすくなります。肥料は、多く与えるほどよいわけではなく、一定のペースで少しずつ与えるのが基本です。土づくりの全般については、緑肥作物の効果と選び方も参考にしてください。
③ 雑草や、枯れた株の残渣を片づける
ノースカロライナ州立大学は、病原体の隠れ場所になる残渣、雑草、こぼれ種から生えた株を取り除くことを挙げています。UC IPMも、衛生管理と雑草の管理を挙げています。ユタ州立大学とクレムソン大学は、収穫のあとに、感染した株をすき込む、または取り除いて、菌が越冬する場所をなくすことを推奨しています。
- 栽培が終わったら、株や葉をそのまま放置しない
- 畑や庭の周りの雑草を、こまめに取り除く
- 枯れた葉や、落ちた葉を片づける
④ 週に1回は観察する
ユタ州立大学は、晩春から始めて、毎週、新しい病斑がないかを観察することを挙げています。UC IPMは、生育の初期から果実の発達期まで、畑を継続して観察するよう述べています。
- 下のほうの古い葉、日陰の葉から先に確認する
- 葉の表面と、茎、葉柄もあわせて見る
- 小さな白い斑点、または淡い黄色の斑点を見つけたら、早めに対応を考える
⑤ 水やりは朝に、株元へ
うどんこ病は、雨で葉が濡れる条件を好みませんが、最初の感染には、葉が2時間以上、高い湿度や露にさらされることが必要とされています。水やりは、朝の早い時間に、株元へ行い、夜まで葉や地面が濡れたままにならないようにすると、湿度を上げにくくなります。ただし、うどんこ病は乾いた条件でも広がるため、水やりの工夫だけで防げる病気ではありません。
薬剤防除の基本的な考え方

薬剤を使う場合の基本は、症状が広がる前の、予防的な使用と、早めの対応です。各機関の解説から、考え方を整理します。
使うタイミング:症状が出始めたら、または予防的に
- UC IPM:最初の症状が出たときに散布し、症状が再び出たら繰り返す
- クレムソン大学:症状がある場合、予防的な散布が最も効果的
- ノースカロライナ州立大学:生産者向けには、病気が出る前から、7〜10日おきに散布する体系を紹介している
- ユタ州立大学:硫黄剤を、発病の初期に散布し、7〜10日おきに繰り返す
一方、ユタ州立大学は、葉が白い菌でびっしり覆われてしまうと、薬剤による防除は効きにくくなると述べています。初期対応が重要です。
薬剤の抵抗性に注意する
ノースカロライナ州立大学は、抵抗性を防ぐため、作用の異なる薬剤を交互に使うことを挙げています。UC IPMは、抵抗性が生じやすい薬剤のグループ(FRACコードで1、4、9、11、17)については、同じグループの薬剤の連続使用を1回にとどめ、別のグループに切り替えることを推奨しています。
硫黄剤は、高温時に注意
ユタ州立大学は、硫黄剤は、初期に散布すると効果が高い一方で、気温が90°F(約32℃)を超えるときには、葉を傷める(薬害)おそれがあるため、使えないと述べています。使用する薬剤は、気温条件や使用上の注意を、ラベルでよく確認してください。
有機栽培・家庭菜園向けの選択肢
- ノースカロライナ州立大学:有機栽培で認められている選択肢は、銅剤に限られる。家庭菜園向けには、銅剤やクロロタロニルを含む製品が挙げられている
- クレムソン大学:クロロタロニルや銅剤が、家庭菜園の選択肢として挙げられている(収穫前日数は0日)
これらは、米国の登録に基づく情報です。日本国内では、キュウリのうどんこ病に使用が登録されている薬剤は、別途定められています。
日本で薬剤を使うときの注意
- 日本国内では、農薬取締法に基づいて登録された薬剤のみを使用する
- 対象作物(キュウリ)、対象病害(うどんこ病)、使用回数、収穫前日数を、ラベルで必ず確認する
- 家庭菜園向けの製品の中から、ラベルにキュウリのうどんこ病への使用が明記されたものを選ぶ
家庭菜園向けの製品で、ラベルにキュウリのうどんこ病への使用が記載されているものの例を2つ紹介します。
1つ目は、炭酸水素カリウムを主成分とする「カリグリーン水溶剤」です。有機JASに適合する農薬で、収穫前日まで使えます。水で薄めて使うため、噴霧器が別に必要です。
2つ目は、薄めずにそのまま使えるスプレータイプの「ベニカXファインスプレー」です。うどんこ病のほか、アブラムシなどの害虫にも登録があります。
どちらも、うどんこ病に登録のある薬剤の一例です。登録内容は変わることがあるため、購入・使用の前に、ラベルで対象作物・使用回数・収穫前日数を確認してください。
薬剤の効果や安全性を保証することは、この記事ではできません。使用する製品のラベルに従ってください。
うどんこ病とべと病は何が違う?発生条件の比較

うどんこ病とべと病は、どちらもキュウリの葉に出る代表的な病気ですが、原因も、発生しやすい条件も、症状の出る場所も異なります。 対策も違ってくるため、見分けることが大切です。
| 比較項目 | うどんこ病 | べと病 |
|---|---|---|
| 病原体の種類 | 糸状菌(カビの一種) | 卵菌(水カビに近い別のグループ) |
| 葉の症状 | 葉の表面に白い粉状の菌が広がる | 葉脈に区切られた角ばった黄色い斑点が出て、裏に暗い綿毛状の胞子ができる |
| 好む気温の目安 | 約20〜27℃(約10〜32℃で発生しうる) | 約15℃前後の涼しい条件 |
| 湿度・葉の濡れ | 相対湿度50〜90%。雨や葉の濡れは必須ではない | 6〜12時間ほどの葉の濡れが必要 |
| 好発部位 | 古い葉・日陰の葉から始まりやすい | 古い葉から始まりやすい |
(べと病の欄は、キュウリのべと病の記事で紹介した各機関の情報による)
同じ株に、両方の病気が同時に出ることもあります。「涼しくて葉が濡れる時期はべと病、過ごしやすい気温で乾き気味のときはうどんこ病」という目安は、対策を考えるうえでの参考になります。ただし、実際の発生は複数の条件が重なるため、症状を見て判断するのが基本です。
栽培環境別に見る注意ポイント
同じキュウリでも、露地・ハウス・プランターでは、うどんこ病が広がりやすい理由が少しずつ異なります。
露地栽培
雨が少なく、曇りがちで乾いた天気が続く時期は、うどんこ病が広がりやすい環境になります。
- 株間を確保し、蔓をネットに誘引して、風が通るようにする
- 週に1回は、株の下のほうの古い葉から観察する
- 収穫の終わった株や、周囲の雑草を、放置しない
ハウス・トンネル栽培
ハウスの中は、風通しが悪くなりやすく、光も少なめになりがちです。うどんこ病が好む「光が少なく、葉が込み合った、湿度がやや高い環境」になりやすいため、注意が必要です。
- 換気を行い、湿度がこもらないようにする
- 株が茂りすぎないよう、葉や蔓を整理する
- 栽培が終わった後の残渣を、ハウスの外に持ち出す
プランター・ベランダ栽培
プランターは、株の数が少ないため、観察しやすいという利点があります。一方で、壁際に置くと風通しが悪くなる場合があります。
- 壁から少し離して、風が通る場所に置く
- 1つのプランターに株を詰め込みすぎない
- 葉が茂りすぎたら、下のほうの葉を整理する
「うどんこ病かも?」と思ったときの対応手順
葉に白い粉のようなものを見つけたら、まず症状の場所と見た目を確認し、風通しの改善と、症状のある葉の整理を同時に進めるのが基本の流れです。 各機関の解説を踏まえ、家庭菜園で実践しやすい形に整理します。
ステップ① 白い粉の場所と見た目を確認する
- 白い粉状のものが、葉の表面に広がっているか
- 下のほうの古い葉、日陰の葉から始まっていないか
- 葉が黄色くなったり、くすんだりしていないか
- 葉の裏に、暗い綿毛状のものが出ていないか(出ている場合は、べと病の可能性がある)
白い粉のようなものが、水やりの水はねや、農薬・肥料の付着ということもあります。指で軽くこすって、粉がのびるかどうかも、確認のヒントになります。
ステップ② 症状のある葉を取り除く
症状が軽いうちは、症状のある葉を早めに取り除くことを検討します。取り除くときは、次の点に気をつけます。
- 胞子が舞わないよう、静かに切り取り、袋に入れて持ち出す
- 取り除いた葉を、株元や周囲に放置しない
- 使ったはさみや手は、他の株に触る前に清潔にする
ただし、葉を取りすぎると、株が弱ります。症状が広範囲に及んでいる場合は、株全体の状態を見ながら判断します。
ステップ③ 風通しを改善する
- 込み合った蔓や葉を整理し、風と光が入るようにする
- 株間が狭い場合は、間引きも検討する
- ハウスでは、換気の回数を増やす
- プランターは、壁から少し離して置く
ステップ④ 肥料を見直す
最近、窒素の多い肥料を繰り返し与えていないかを確認します。株が茂りすぎている場合は、追肥の量や頻度を控えめにします。
ステップ⑤ 薬剤の使用を検討する場合
薬剤を使う場合は、対象作物と対象病害が明記された製品を選び、ラベルの使用方法・回数・収穫前日数を守ります。ユタ州立大学の解説にあるように、葉が白い菌でびっしり覆われてからでは、効きにくくなります。使う場合は、初期の段階が目安です。また、同じ系統の薬剤を続けて使わず、作用の異なる薬剤を使い分けることが大切です。
ステップ⑥ 経過を観察し、記録を残す
1週間ほど、新しい葉に症状が広がっていないかを観察します。天気、気温、対応した内容をメモしておくと、翌シーズンの発生時期の目安になります。
1シーズンの管理の流れ(目安)
うどんこ病の対策は、症状が出てからではなく、栽培の準備段階から始めるのが基本です。各機関の解説を、栽培の流れに沿って整理します。地域や気候によって時期は異なるため、あくまで目安です。
準備の段階(植え付け前)
- うどんこ病への耐病性がある品種を選ぶ
- 株間を十分にとれるよう、畝や支柱の配置を決める
- 畑の周りの雑草を、あらかじめ整理しておく
- 前の作物の残渣が残っていれば、片づけておく
定植から生育初期
- 株間を確保して定植する
- 窒素肥料を与えすぎず、株の勢いを整える
- 蔓が伸びたら、早めに支柱やネットへ誘引する
生育中期(気温が上がる時期)
- 週に1回は、下のほうの古い葉から観察する
- 込み合ってきた葉は、適度に整理する
- 曇りがちで、雨が少ない日が続くときは、観察の頻度を上げる
収穫期
- 症状のある葉は、早めに取り除く
- 株が疲れてくる時期は、病気の影響を受けやすくなるため、観察を続ける
シーズンの終わり
- 栽培が終わった株や葉を、放置せず片づける
- 記録を見返し、翌年の品種、株間、肥料の量を見直す
よくある間違い・誤解
うどんこ病については、「雨が降らなければ安心」「葉を濡らさなければ防げる」といった誤解が見られますが、各機関の情報とは異なる点があります。
誤解① 「葉が濡れなければ、うどんこ病は発生しない」
ユタ州立大学の解説では、うどんこ病は、雨で葉が濡れる条件を好みません。むしろ、一度定着すると、乾燥した条件で勢いよく広がるとされています。葉を濡らさない対策は、べと病には有効ですが、うどんこ病には、それだけでは不十分です。
誤解② 「キュウリのうどんこ病は、トマトやナスにもうつる」
ウリ科のうどんこ病は、ウリ科の作物に発生する病気として扱われています。トマトやナスなどナス科のうどんこ病は、別の菌が関わっています。ただし、同じ場所で複数の作物にうどんこ病が出ている場合は、環境が病気に有利な状態になっている可能性があります。
誤解③ 「抵抗性品種なら、うどんこ病にはかからない」
UC IPMは、抵抗性品種でも観察を続けるよう述べています。抵抗性を打ち破る菌のレースの存在を示す証拠があるためです。抵抗性品種は、あくまで発病のリスクを減らすものです。
誤解④ 「白くなった葉は、水で洗い流せば治る」
うどんこ病菌は、葉の表面に生えているように見えますが、植物の細胞から栄養を吸い取っており、単に汚れが付着しているわけではありません。水で洗い流しても、病気そのものが治るわけではありません。ただ、水をかけて葉が濡れたままだと、他の病気の原因にもなりうるため、注意が必要です。
誤解⑤ 「症状が進んでから薬剤を使えば、しっかり効く」
ユタ州立大学の解説では、葉が菌で厚く覆われてしまうと、薬剤による防除は効きにくくなるとされています。薬剤は、初期の段階か、予防的に使うのが基本です。
まとめ:うどんこ病対策は「風通し」「品種」「早めの発見」
キュウリのうどんこ病について、この記事の内容を整理します。
- キュウリのうどんこ病とは、糸状菌によって、葉や茎に白い粉状の菌が広がる病気で、ウリ科の作物に発生する
- 古い葉や日陰の葉から始まりやすく、進むと葉がくすみ、茶色く紙のようになる
- 約20〜27℃の穏やかな気温、相対湿度50〜90%、光が少なく葉が込み合った環境で発生しやすい
- 雨で葉が濡れる必要はなく、乾いた条件でも広がる点が、べと病と大きく異なる
- 胞子は風で運ばれ、雑草や枯れた株の残渣が、次の感染源になりうる
- 対策の中心は、株間の確保と風通し、抵抗性品種の選択、窒素肥料の与えすぎに注意、雑草・残渣の片づけ、週に1回の観察
- 薬剤は初期に使うのが基本で、同じ系統を続けず、作用の異なるものを使い分ける。日本ではラベルに従う
うどんこ病は、環境が整うと広がりやすい病気ですが、株間や風通し、品種選びといった基本の対策を積み重ねることで、被害を抑えられる可能性は十分にあります。まずは、今日の見回りで、キュウリの下のほうの葉を、そっとのぞいてみてはいかがでしょうか。
よくある質問(Q&A)
Q1.キュウリのうどんこ病とべと病は、どう見分けますか?
うどんこ病は、葉の表面に白い粉状の菌が広がるのが特徴です。べと病は、葉脈に区切られた角ばった黄色い斑点が出て、葉の裏に暗い綿毛状の胞子ができます。 発生しやすい条件も異なり、うどんこ病は、雨で葉が濡れていなくても広がりますが、べと病は、葉が長時間濡れることで広がりやすくなります。葉を裏返して、裏側の様子も確認すると、見分けやすくなります。
Q2.うどんこ病の葉は、取り除いたほうがいいですか?
症状が軽いうちは、症状のある葉を早めに取り除き、袋に入れて持ち出すのが安心です。 取り除いた葉を株元に放置すると、胞子の発生源になるおそれがあります。ただし、葉を取りすぎると株が弱るため、症状が広範囲に及ぶ場合は、株全体の状態を見て判断します。
Q3.雨が降らないのに、なぜうどんこ病が発生するのですか?
うどんこ病は、雨で葉が濡れる条件を好まず、むしろ乾燥した条件でも広がるという特徴があるためです。 ユタ州立大学の解説では、最初の感染には、葉が2時間以上、高い湿度や露にさらされることが必要ですが、一度定着すると、乾燥した条件で勢いよく広がるとされています。ノースカロライナ州立大学も、相対湿度が50%程度の乾燥した条件でも、感染が起こりうると述べています。
Q4.うどんこ病に強い品種を選べば、対策は不要ですか?
抵抗性品種は、うどんこ病対策の基本ですが、それだけで完全に防げるわけではありません。 UC IPMは、抵抗性品種を植えていても、畑の観察を続けるよう述べています。抵抗性を打ち破る菌のレースが存在する証拠があるためです。株間の確保や風通しの改善といった栽培管理と、あわせて行うことが大切です。
参考文献
Clemson University Home & Garden Information Center. “Cucumber, Squash, Melon & Other Cucurbit Diseases.” https://hgic.clemson.edu/factsheet/cucumber-squash-melon-other-cucurbit-diseases/
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Utah State University Extension. “Powdery Mildew (Cucurbits), Vegetable Production Guide.” https://extension.usu.edu/vegetableguide/cucurbits/powdery-mildew


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