アワノメイガの生態と発生する原因、対策について紹介

アワノメイガ

アワノメイガの対策に苦慮されている生産者も数多くおられますので、今回はアワノメイガ対策について紹介していきます。

アワノメイガは、アワノメイガ科に属する昆虫で、主にトウモロコシをはじめとするイネ科作物に被害を与える害虫です。

アワノメイガは日本全国に分布し、特に温暖な地域で多く見られます。

成虫は小型の蛾で、翅の色は茶色から淡褐色で、前翅には特有の斑紋が見られます。

アワノメイガの生態

アワノメイガは温暖な気候を好み、温度と湿度が高い条件下で特に活発に活動します。

孵化から成虫になるまでの成長サイクルは気温に依存しており、20〜30℃の範囲で最もよく成長します。

特に夏季に発生が多く、年間で2〜3回の世代交代が見られることがあります。

アワノメイガの成虫は夜行性で、日没後に活発に飛翔し、交尾や産卵を行います。

メスは交尾後、主にトウモロコシの葉や茎、花穂に卵を産みつけます。

一度に産卵する卵の数は50〜200個程度です。

卵は1週間ほどで孵化し、幼虫はすぐに植物の内部に侵入して食害を始めます。

アワノメイガの幼虫は、トウモロコシの茎や穂に潜り込み、内部を食害することが特徴です。

幼虫は最初、外側の葉鞘や花穂を食べ、成長するにつれて茎の中や穂軸に侵入し、内部を食い荒らします。

幼虫は非常に破壊的で、茎や穂を掘り進むため、植物の成長を大きく阻害し、倒伏を引き起こすこともあります。

幼虫は数週間から1ヶ月ほどで成長し、その後、茎や土中で蛹になります。

蛹の期間は気温によって異なりますが、約1〜2週間程度です。

その後、成虫が羽化します。

成虫は羽化後すぐに交尾と産卵を行い、新たな世代の発生が繰り返されます。

アワノメイガの幼虫が茎や穂を食害することで、トウモロコシの成長が著しく阻害されます。

特に、茎内部を食害されると水分や栄養の吸収が妨げられ、植物全体の成長が遅れたり、倒伏しやすくなります。

食害された穂は品質が低下し、収穫量も減少するため、農業において大きな経済的損失をもたらします。

アワノメイガの幼虫は、植物の内部に潜り込むため、外部からの天敵や環境の変化に対して比較的保護されています。

また、幼虫は糞や食べかすで通路を塞ぎながら移動するため、他の昆虫や微生物による攻撃から身を守っています。

環境が厳しくなる冬季には、土中や茎の残骸などで越冬し、翌年の春に再び活動を開始します。

アワノメイガの幼虫は、寒冷な季節には活動を停止し、耐寒性を持つ幼虫や蛹の状態で越冬します。

越冬場所はトウモロコシの茎や土中の浅い部分で、春になると再び活動を開始します。

温暖な地域では、越冬幼虫が早春に羽化し、早期に発生することがあり、農作物に被害を与える場合があります。

アワノメイガの幼虫は、捕食者や寄生者などの天敵によって自然に抑制されることがあります。

鳥類、寄生バチ、クモ、カエルなどが主な天敵です。

また、気象条件や自然災害もアワノメイガの個体数に影響を与える要因となります。

特に寒波や大雨は、幼虫や蛹に致命的な影響を与えることがあります。

アワノメイガが発生する原因

アワノメイガは、トウモロコシやイネ、雑草などを食害する農業害虫であり、その発生はさまざまな要因によって引き起こされます。

アワノメイガは温暖な気候を好み、特に気温が20℃以上で湿度が高い環境が発生を助長します。

温暖化に伴う気候変動が彼らの繁殖を容易にしています。

トウモロコシやイネのような作物の連作は、アワノメイガの発生を増加させます。

これらの作物が連続して栽培されると、アワノメイガの幼虫の食料源が常に供給されるため、成虫が卵を産み付けやすくなります。

耕作地や農作物の管理が不十分だと、雑草が生え放題になり、アワノメイガの成虫が卵を産む場所が増え、結果として発生が増加します。

雑草が多いと、アワノメイガが移動しやすくなり、農作物に被害を与えるリスクが高まります。

農薬の不適切な使用や防除のタイミングがずれることで、アワノメイガの成長を効果的に抑制できなくなります。

特に、抵抗性を持つ個体が増えると、通常の農薬が効かなくなることがあります。

アワノメイガを捕食する天敵(寄生蜂、鳥類など)の減少は、アワノメイガの発生を助長します。

天敵の減少は、農薬の多用や生息地の破壊などが原因となります。

アワノメイガは寒冷な冬でも越冬することができる場所があると、翌年の発生が増加します。

例えば、残された作物の残渣や落ち葉などが彼らの越冬場所となります。

単一作物の大規模栽培(モノカルチャー)は、アワノメイガにとって理想的な生息環境を提供します。

このような環境では、食料が豊富にあり、成虫が効率的に繁殖できるため、発生が増えます。

アワノメイガは飛翔能力が高く、風に乗って長距離を移動することができます。

また、農作物や飼料の輸送に伴って広範囲に拡散することもあります。

これにより、新たな地域でも発生が確認されることが多くなります。

気候変動や環境の変化により、アワノメイガにとって有利な生態系が形成される場合があります。

例えば、湿地や水田の減少が、彼らの生息域を拡大することがあります。

アワノメイガは遺伝的多様性が高く、さまざまな環境に適応できる能力を持っています。

これにより、異なる地域や気候条件でも生存しやすくなり、発生が拡大します。

アワノメイガによる食害の主な症状

アワノメイガの幼虫が茎や穂を食害することで、トウモロコシの成長が著しく阻害されます。

特に、茎内部を食害されると水分や栄養の吸収が妨げられ、植物全体の成長が遅れたり、倒伏しやすくなります。

食害された穂は品質が低下し、収穫量が減少します。

アワノメイガの幼虫は、トウモロコシなどの茎内部に侵入し、内部組織を食害します。

これにより、茎が内側から空洞化し、植物の支持力が低下します。

内部を食害された茎は、倒伏しやすくなります。

特に風雨の後などに、茎が折れて倒れてしまうことがあります。

茎が倒伏すると、トウモロコシの成長が大きく阻害され、光合成や養分の供給が不十分になり、最終的には収量が減少します。

アワノメイガの幼虫はトウモロコシの穂軸にも侵入し、穂の中心部分を食害します。

穂軸が食害されると、穂の全体的な強度が低下し、穂が垂れ下がりやすくなります。

穂軸が食害されることで、実が不完全に発達したり、穂が完全に崩壊したりすることもあります。

これにより、収穫できる穀粒の量が大幅に減少します。

アワノメイガの幼虫は、トウモロコシの花穂や雄穂を食害します。

特に花穂の食害は、受粉不良を引き起こし、穂の発育に悪影響を及ぼします。

雄穂が食害されると、花粉の供給が不足し、結果として穂に着果する粒数が減少する可能性があります。

これも収量の減少につながります。

幼虫は時にトウモロコシの葉も食害しますが、葉の食害は通常、他の部分の食害に比べて軽度です。

しかし、大量の幼虫が発生した場合、葉が著しく損傷し、光合成能力が低下することがあります。

葉の食害が進行すると、植物全体の成長が抑制され、弱った個体は病気や他の害虫に対しても脆弱になります。

幼虫が茎や穂内部を食害する際に排出する糞が蓄積し、それがカビや細菌の繁殖を引き起こします。

これにより、二次的な病害が発生しやすくなり、さらなる損傷が引き起こされます。

カビや細菌の発生によって、穂や茎が腐敗し、品質が大幅に低下します。

特に穂の腐敗は収穫時に問題となり、商品価値を著しく損ないます。

アワノメイガによる食害が進行すると、トウモロコシなどの植物は生育不良に陥ります。

栄養や水分の供給が阻害され、植物全体の成長が鈍化します。

生育不良の症状としては、葉の変色(黄変)、小型化した穂、枯死などが見られます。

これらの症状は最終的に収量と品質の低下を招きます。

強い食害を受けた植物は、発育途中で枯死することがあります。

特に茎の中心部が食害されると、植物全体が急激に弱まり、最終的に枯れてしまうことがあります。

枯死した植物は、他の植物にも悪影響を及ぼし、畑全体の健康状態が悪化する可能性があります。

穂や茎の食害により、トウモロコシの果実(穀粒)の品質が低下します。

粒が小さくなったり、不揃いになったりするため、商品価値が著しく低下します。

また、内部が食害された穂は、収穫後の保存性も悪化し、輸送中や市場での販売においても問題が生じます。

アワノメイガによる食害は、内部で進行することが多いため、外見上は健康に見える植物でも内部では深刻な被害が進行していることがあります。

このため、被害を見逃しやすく、気づいた時には大きな損害が出ていることが多いです。

被害を早期に発見するためには、定期的な圃場のチェックが重要です。

しかし、内部食害を目視で確認するのは難しいため、被害の進行が見逃されがちです。

全体的に、アワノメイガによる食害はトウモロコシの収量を大幅に減少させます。

被害が広範囲に及んだ場合、収穫できる作物の全体量が減少し、さらに品質も低下するため、二重の損害を被ることになります。

アワノメイガによる食害の対処・予防方法

●薬剤を使用する前の防除

アワノメイガは、トウモロコシなどの農作物に大きな被害を与える害虫です。

薬剤を使用せずにアワノメイガの食害を対処・予防するためには、さまざまな非化学的な防除方法を組み合わせることが重要です。

同じ作物を同じ場所に連続して栽培することを避け、異なる種類の作物を順番に栽培することで、アワノメイガの食料源を断ち、繁殖を抑制します。

例えば、トウモロコシの後に豆類を植えるなど、害虫のライフサイクルを途切れさせる作物を選びます。

異なる作物を同じ畑に同時に栽培することで、アワノメイガが特定の作物を見つけにくくします。

例えば、トウモロコシと豆類を混植することで、害虫の発見と食害を遅らせます。

アワノメイガの発生時期に合わせて、作物の植え付け時期を調整することで、幼虫の被害を最小限に抑えます。

例えば、発生が多い時期を避けて作物を早植えまたは遅植えするなどの対策が考えられます。

アワノメイガが好む作物(トラップクロップ)を主作物の周囲に植えることで、害虫をおびき寄せ、主作物への被害を減らします。

トラップクロップは後で取り除くか、アワノメイガが発生した際に早期に処理します。

防虫ネットやシートを利用して、アワノメイガの成虫が作物に産卵するのを防ぎます。

特に、若い苗や発芽直後の植物にネットをかけることで、初期の被害を予防できます。

アワノメイガの天敵である寄生バチ、捕食性昆虫、鳥類などを保護・増加させるため、農薬の使用を控えるか、天敵が生息しやすい環境を整えます。

例えば、周囲に花や草を植えて天敵の餌や住処を提供することが効果的です。

適切な施肥と水管理を行い、作物の健康を保つことで、アワノメイガによる被害を受けにくくします。

健全な作物は害虫の攻撃に対する抵抗力が高く、食害の影響を受けにくくなります。

収穫後の作物残渣や落ち葉をしっかりと処理することで、アワノメイガの幼虫や成虫が越冬する場所を減らし、翌シーズンの発生を抑制します。

残渣はできるだけ速やかに除去または堆肥化することが推奨されます。

土壌を深く耕すことで、アワノメイガの幼虫や蛹を物理的に破壊したり、地表に出して鳥類や他の捕食者に食べられやすくしたりする効果があります。

耕作は、害虫のライフサイクルを中断する一助となります。

誘殺灯やフェロモントラップを畑に設置し、成虫を誘引して捕獲することで、産卵数を減らし、発生を抑制します。

特に、成虫の飛来が多い夜間に効果を発揮します。

マルチング材(稲わら、黒ポリシートなど)を利用して土壌を覆うことで、アワノメイガの幼虫が地中に潜るのを防ぎ、また地面から成虫が羽化するのを妨げることができます。

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