ナメクジ類の生態と発生する原因、対策について紹介

ナメクジ

ナメクジの対策に苦慮されている生産者も数多くおられますので、今回はナメクジ対策について紹介していきます。

ナメクジは軟体動物門腹足綱の一部であり、カタツムリのような殻を持たないです。

種類は非常に多くて、全世界に分布します。

特にヨーロッパやアジア、北アメリカに多く見られます。

体色は種によって異なって、茶色、黒、灰色、黄色など様々です。

ナメクジの生態

ナメクジ類は雌雄同体の為、自家受精するナメクジもいますが2匹いると両方とも産卵します。

生殖孔と陰茎は頭の右側にあって、2匹が頭を引っ付けて交尾をします。

頭から産卵して、秋に性成熟してから一生で約300個の卵を産みます。

卵は土の中や鉢底などにまとめて産み付けられて、半透明で2~3mm位の円形や楕円形をしています。

ナメクジは昼間は鉢底など湿っぽい場所に隠れていて、乾燥にはとても弱いです。

隠れている状態は丸くて太くなっており、活動しだすと細長くなるため別種のように見えます。

夜行性が強くて、半径数mの範囲内で活動して、朝になると元の鉢底などに戻っていきます。

細長くなった際に頭部が入れる大きさであれば、割れ目や穴などどこにでも入っていきます。

這った跡にナメクジ特有の粘液が残って、乾燥すると光って見えます。

この粘液は水がかかると溶けて無くなります。

皮膚が軟かくて摩擦に弱い為、体の前方から粘膜を出しながら、滑るようにして歩きます。

頭部には二対の触角があり、上の触角は眼を持ちます。

粘液の痕跡を残しながら移動し、この痕跡を通じて仲間とコミュニケーションを図ることもあります。

ナメクジは主に植物食であり、葉、花、果実、種子などを食べます。

一部の種は菌類や動物の死骸も摂取します。

農業においては害虫として知られており、多くの作物に被害を与えます。

交尾後、数十個から数百個の卵を湿った土や腐葉土に産みます。

卵は数週間で孵化し、成長すると再び繁殖可能となります。

幼体は約数ヶ月で成体となるが、寿命は通常1年から2年です。

天敵や環境条件により寿命が大きく変わる事もあります。

自然界におけるナメクジの天敵は、鳥類、哺乳類、両生類、爬虫類などです。

特にヒキガエルやコウモリが重要な捕食者です。

粘液は防御機構として働き、捕食者から逃れるための滑りやすい表面です。

一部の種は刺激を受けると、強い苦味のある粘液を分泌し、捕食者を追い払います。

一方で、土壌の有機物を分解し、栄養循環に貢献する役割も果たします。

ナメクジが発生する原因

ナメクジは湿気を好む為、降雨が多い地域や湿気がこもる場所で発生しやすいです。

水はけの悪い土壌や、排水が不十分な場所はナメクジの温床となります。

湿度が高い季節にはナメクジの活動が活発化し、発生も増えます。

ナメクジは日中の乾燥を避ける為、暗くて湿った場所に隠れます。

庭や畑の石の下、落ち葉の下、腐った木材、庭の装飾物の下などが理想的な隠れ場所となります。

家庭の中では、湿気がたまりやすい地下室や浴室などに隠れる事もあります。

ナメクジは植物を主な食料源とする為、庭や畑に豊富な植物があると発生しやすいです。

特に、新芽や柔らかい葉、果実、花などはナメクジの好物であり、これらが多い場所では発生が増加します。

放置された生ゴミやコンポストもナメクジの食料源となります。

庭や畑に落ち葉や刈り取った草、腐った果物などの有機物が放置されていると、ナメクジの栄養源となり発生を助長します。

腐葉土や堆肥もナメクジにとって理想的な環境です。

ナメクジは温暖な気候を好む為、温暖な地域や温かい季節に発生しやすいです。

極端な寒冷や乾燥には弱いが、一部の種は耐寒性があり、寒冷地でも適応する事が出来ます。

農業や園芸活動によって土壌が耕され、植物が密集する事でナメクジの生息環境が整えられます。

化学肥料や農薬の使用が少ない有機農法では、自然界のバランスが保たれ、ナメクジの発生が増える事があります。

人間の活動によって生じる湿気やゴミもナメクジの発生を促します。

ナメクジは自然界の一部であり、生態系のバランスに従って発生します。

食物連鎖や環境条件の変化に応じて、ナメクジの個体数が増減する事があります。

ナメクジの天敵が少ない地域では、ナメクジの個体数が増加しやすいです。

農薬や都市化により天敵が減少すると、ナメクジの発生が増えます。

ナメクジの卵や幼体が植物や土壌に紛れて運ばれ、新たな地域で発生する事があります。

気候変動により降雨パターンや気温が変化すると、ナメクジの発生時期や分布が影響を受けます。

温暖化に伴い、ナメクジが従来よりも北方や高地にも進出する事があります。

ナメクジによる食害の主な症状

葉に不規則な穴や裂け目が生じます。

ナメクジは葉の柔らかい部分を好んで食べる為、新芽や若葉が被害に遭いやすいです。

食べ残しの跡が葉に見られ、葉の一部が完全に無くなる事もあります。

葉の表面に小さな筋状の食痕が残る事があり、これはナメクジの舌にある歯によるものです。

果実の表面に不規則な穴が開きます。

特に熟した果実はナメクジにとって好まれます。

果実の一部が食べられ、中身が露出する事があります。

傷ついた果実は腐敗しやすく、他の病原菌や害虫の侵入経路となります。

植物の茎に傷がつき、時には茎全体が食い破られる事もあります。

茎の損傷は植物の成長を妨げ、場合によっては植物全体が枯れる原因となります。

地表近くの根が食べられ、植物が正常に栄養を吸収出来なくなります。

根の被害が進むと、植物の生育が著しく遅れたり、最悪の場合枯死する事もあります。

花びらが食べられ、不規則な形に削られます。

花芽が食べられる事で、花が開かなくなる事もあります。

ナメクジが通った後には粘液が残ります。

この粘液は透明または白く、乾燥すると光沢のある痕跡を残します。

粘液の痕跡は葉、果実、茎、地面などあらゆる場所に見られます。

若い苗がナメクジに食べられると、成長が阻害され、最悪の場合枯死する事があります。

特に発芽したばかりの苗はナメクジにとって格好の餌となる為、被害が甚大になりやすいです。

観葉植物や花卉において、ナメクジによる食害は見た目の美しさを大きく損ないます。

ナメクジの食害を受けた植物は、他の病害虫の侵入を受けやすくなります。

傷ついた部分から病原菌が侵入し、植物全体が病気にかかる事があります。

農作物において、ナメクジによる被害は収穫量の減少を引き起こします。

ナメクジは特定の植物を好んで食べる為、生態系のバランスが崩れる事があります。

特に外来種のナメクジが新しい環境に侵入すると、在来の植物や生物に深刻な影響を与える事があります。

ナメクジによる食害の対処・予防方法

●薬剤を使用する前の防除

ナメクジは銅に触れると不快感を感じる為、植物の周りや鉢の縁に銅テープを貼る事でナメクジの侵入を防ぎます。

鉢植えや花壇にナメクジが登れないように、プラスチックや金属のフェンスを設置します。

植物の周りにワイヤーネットや網を設置し、ナメクジが直接植物に接触出来ないようにします。

ナメクジは粗い表面を嫌う為、植物の周囲に砂や砕いた卵殻を撒く事で、ナメクジの移動を妨げます。

灰やコーヒーかすはナメクジの移動を困難にする為、植物の周りに撒くと効果的です。

ただし、雨に流されやすい為、定期的な補充が必要です。

土壌の表面をウッドチップや松葉で覆う事で、ナメクジが移動しにくくなります。

ナメクジは湿った環境を好むため、庭や畑の水はけを改善し、湿気を減らします。

これには、排水を改善したり、落ち葉や草をこまめに除去したりする事が含まれます。

ナメクジは石や木片、落ち葉などの下に隠れる為、これらの物を取り除く事でナメクジの居場所を減らします。

雑草が繁茂すると、ナメクジの隠れ場所が増える為、定期的に雑草を取り除きます。

ナメクジはビールに含まれる酵母に引き寄せられる為、ビールを浅い皿に入れて地面に埋め、ナメクジを誘引して捕獲します。

トラップは定期的に確認し、ナメクジを取り除きます。

メロンやオレンジの皮を逆さにして地面に置くと、その下にナメクジが集まります。

翌朝、皮の下を確認し、ナメクジを集めて処分します。

夜間に湿った板や新聞紙を地面に置き、翌朝にその下に集まったナメクジを捕獲します。

ヒキガエルやカエルはナメクジを捕食する為、庭にこれらの生物が住みやすい環境を整えると効果的です。

鳥類もナメクジの天敵です。

鳥が集まりやすいように鳥の餌場や巣箱を設置し、ナメクジの自然なコントロールを図ります。

ナメクジを食べる昆虫や幼虫を利用する事で、ナメクジの数を減らします。

ナメクジが嫌うハーブを食害されやすい植物の周囲に植える事で、ナメクジの侵入を防ぎます。

マリーゴールドやニンニクはナメクジを遠ざける効果がある為、これらの植物を活用します。

ナメクジは夜行性の為、夜間に懐中電灯を持って植物をチェックし、発見次第取り除きます。

植物の葉や果実に食害の跡が見られた場合、すぐに対処する事で被害を最小限に抑えます。

手袋を着用して、夜間や早朝にナメクジを直接捕まえて取り除きます。

捕まえたナメクジを塩水を入れたバケツに入れて処分します。

塩分がナメクジを乾燥させて駆除しますが、環境への影響に注意が必要です。

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