
菌核病の対策に苦慮されている生産者も数多くおられますので、今回は菌核病対策について紹介していきます。
菌核病とは、スクレロテイニア・スクレロテイオラムというカビが原因で発症します。
あらゆる野菜に感染するが、秋から春にかけ発生するので、レタスやキャベツなどの秋冬野菜には注意が必要です。
菌核病が発生すると茎や葉が水浸状に褐色してきて、どろどろに腐敗していきます。
菌核病による食害の主な症状
湿度が高くなってくると、黒い菌核(菌糸の塊)と白いカビが出来ます。
菌核が地表に落ちて繁殖が行われると、10~15mm程度のキノコが生えてきて、胞子を飛ばします。
菌核病は、株が 一定以上大きくなってから発症し始めるのが特徴的です。
最初に現れる症状の一つとして、感染部位の葉が黄色や茶色に変色します。
感染が進行すると、葉が枯れ、落ちる事があります。
茎に茶色の斑点が現れ、その部分が徐々に柔らかくなり腐敗します。
腐敗部分は湿っている場合が多く、腐敗が進むと茎が折れやすくなります。
菌核病に感染した植物の花や果実が早期にしおれる事があります。
果実に黒い斑点が現れ、その部分が徐々に拡大して腐敗します。
果実の内部も腐敗が進行し、柔らかくなり異臭を放つ事があります。
地中の根が菌核病に感染すると、根の表面が茶色から黒色に変色し、腐敗します。
根の腐敗が進むと、植物全体が弱り、生育不良や枯死に至る事があります。
病気が進行すると、感染部位に黒色の硬い構造体(菌核)が形成されます。
菌核は土壌中で長期間生存し、次のシーズンに再び感染源となります。
感染が進むと茎の内部が腐敗し、空洞化する事があります。
空洞化した茎は外見からも分かりやすく、折れやすくなります。
病気が進行すると、植物全体が萎凋(いちょう)し、枯れてしまいます。
特に高温多湿の条件下で、病気の進行が早まります。
菌核病が発生しやすい植物
キャベツ・レタス・チンゲンサイ・キュウリ・ナス・トマト・イチゴ・スイカ・メロン・ネギ・ダイズ・インゲン・ダイコンなど
菌核病が発生しやすい時期
3~5月と9~11月
菌核病が発生する条件
菌核病は、高温多湿の環境を好みます。
特に、春から秋にかけての降雨量が多い年は発生が多くなる傾向があります。
昼夜の温度差が大きいと、植物が弱り、病害に感染しやすくなります。
菌核病は比較的涼しい気候で発生しやすく、温度範囲は約15~25℃が最適とされています。
霧や露が多いと、植物の表面が長時間湿潤状態になり、胞子の発芽や感染が促進されます。
湿度が80%以上に保たれると、菌糸の成長が促進され、病気の広がりが早まります。
冷涼な気候条件下では、菌核の発芽および菌糸の成長が活発になります。
排水不良の土壌は、水はけが悪く、根腐れを起こしやすくなります。
根が弱ると、菌核病にかかりやすくなります。
継続的な降雨や過剰な灌漑によって土壌および植物体の表面が長時間湿っている場合、菌核病の発生リスクが高まります。
特に開花期の長雨は、病気の発生を促進します。
作物を密集して植えると、風通しが悪くなり、湿度が高くなりやすい為、菌核病が発生しやすくなります。
密植により植物間の距離が近くなる為、病気の伝播が容易になります。
風通しが悪いと湿度が高くなりやすく、菌核病の発生条件が整います。
植物の下部が湿りやすく、病気の温床となります。
土壌中や植物残渣に菌核(菌の耐久構造)が存在する場合、次の作物にも感染が広がる可能性があります。
菌核は長期間生存可能で、数年間土壌中で感染源として機能します。
適切な輪作が行われない場合、同じ作物が連作されると菌核病の発生リスクが高まります。
作物残渣の適切な処理や除去が行われないと、病原菌が次シーズンに持ち越されます。
土壌の過剰な湿りや、植物の根元への水の溜まりが菌核病の発生を促進します。
適切な排水が行われていない甫場では、水はけが悪く、病気の発生条件が整います。
過剰な窒素肥料の使用により、植物の成長が過剰になり、密集した葉や茎が形成され、風通しが悪くなります。
窒素過多により、植物体が柔らかくなり、病原菌に対する抵抗力が低下します。
菌核病による食害の対処・予防方法
●薬剤を使用する前の防除
同じ科の作物を連作せず、輪作を行う事で、土壌中の菌核の数を減らします。
菌核病に抵抗性のある品種を導入する事で、発病リスクを軽減します。
病気の発生源となる残渣を甫場から速やかに除去し、清潔な状態を保ちましょう。
排水不良の甫場では、排水路を整備したり、高畝栽培を行うなどして排水性を改善しましょう。
収穫後の植物残渣を適切に処理し、病原菌の拡散を防ぐ事が必要です。
焼却や深く耕して土壌に埋め込みます。
植物の根元にマルチングを施し、土壌の湿度を適度に保つ事が必要です。
マルチング材は適切に管理し、病原菌の温床とならないよう注意する。
適切な有機肥料を使用し、植物の健康を促進します。
過剰な施肥を避け、バランスの取れた栄養管理を行う事が必要です。
病原菌を食べる有益な微生物を土壌に導入します。
天然の防除剤や有機質の堆肥を活用します。


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